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★スウェーデンからの便りは終わりです。次は北京から!★


by kanainsweden
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生活の豊かさ

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公園の中にある”巻貝”のそばで読書中の夫。これは10月15日の写真だから約一ヶ月前ですね。今はもう、ほとんど木の葉は散って、すっかり冬です。

 先日、生活の豊かな国で日本は世界で7位だったという報告を読みました。国連開発計画による報告に使われた指数は、「平均寿命や就学率、1人当たりの国内総生産や女性の社会進出度などをもとに、総合的な生活の質」なのですが、興味深いのはトップにノルウェー、そして日本より上位にスウェーデンと北欧諸国が世界で最も豊かな国にあがっていること。

 たった一年だけどスウェーデンで生活してみて、日本人として感じる不平を無視して北欧の暮らしを見てみると、上記の指数以外にもどうしてここの人たちが幸せ度が高いのか思い浮かぶ点があります。



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その一。 週末、行くところが限られる。これは日本、特に首都圏から来ている赴任者にとってはきついんです。でも一年もたつと、あきらめがつきます。 だから週末は晴れていれば公園。寒い季節はIKEA(笑)。

晴れていれば外に出て、お日様の恵みをしっかり受けて、夕方からキャンドル灯して家で質素な食事をしましょう。

お天気が悪ければ、IKEAに行って、子供達はプレイルームに預けて遊ばせます。親は居心地良い家づくりのための、インテリアグッズを買いましょう。帰宅後はせっせとDIY。

な~んて、あまりにも大雑把なくくりかたですが、少なくともここマルメではこういう週末の過ごし方が主流のような気がします。少なくとも日本のようにショッピングの楽しみもないので、物欲も抑えられます。東京では世界中のものが手に入り、世界の味を楽しめるけど、いくら手に入れてもどれだけ食べてもまだ足りない状態に陥りがちではないですか?一度でもそういう生活を知っていると、ここでの物の少なさ、食べ物が口に合わない、というのは日本人の短期滞在者にとっては大きな不満のもとになっているのだけど、もしこの不満さえなければ、スーパーの品揃えにも十二分に満足できるはず。もっと輸入食品を増やして~なんて思っていないでしょうね。

その二。大人同士のつながりがある。

こうやって友達同士で集ってしゃべるのが好きな人種のような気がする。夫婦でもしかり。公園でもカフェでも家族単位か、お友達同士というのが多くて、私が娘と二人きりで出かけると、「ん?珍しい?」と思うことが多々あります。携帯電話が普及しているのも、とにかくおしゃべり好きなのではないかと。それはアメリカ人が集まると「議論」するというのともまた違い、大声で騒ぐというのもなく、割と静かに、でも楽しく延々としゃべっている感じなのです。一人で寂しくなって思い悩む前に、わあ~っと人にしゃべっちゃう、そんなまっとうな人と人の付き合いが家庭を持っても成り立っているのはとても大切なことのように思います

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その三。パパも育児参加。パパ、3児を連れて公園でピクニックの図。これはだれへのあてつけでもありません(笑) ここまで文化が違えば育児のしかたも違って当然。だから日本で日本の男性に同じだけの参加を求めるつもりは全くなくて。でも事実としてスウェーデン人の男性は「ごくごく普通に育児に参加」しています。これは育児休暇を当然のように男女共にもらえるということ、さらに復帰しても子供が小学生にあがるまでだったか7、8歳になるまでは就業時間を減らせる(パパも)から。生まれて一年間はママが育休、次の一年間はパパが育休、などと自分達で最良の形を選んでいるらしいのです。

 パパが0歳児を一人で児童館に連れてきて、朝ごはんの離乳食をレンジであたためて食べさせ、児童館での遊びに付き合い、当然、おむつを持ってトイレに入りおむつ交換をし、時間がきたらスナックやお昼ごはんを食べさせ、家に連れて帰る途中にスーパーにより、帰宅して夕食まで作る(らしいのだ・・・)なんてのを目の当たりにすると、正直驚きます。だからこちらの男性用トイレにはおむつの交換台があるんですよ。

 子供を預ける保育園も、今はベビーブームでどこも満員とはいえ、仕事をしている母親の子供を最優先で受け入れます。

 だから女性も当然のごとく仕事を続けられる。特にこちらに来てからかかった歯医者さん、内科の先生、子供の定期健診でお世話になる保健所の先生は皆女性で、その進出度を実感させられます。

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この国で女は強いのです^^ 子供を預けてフルタイムで働くことが果たして幸せかどうかは、また別の議論になりそうだけど、進出したいと願う女性が思いのまま進出できる土壌があるかどうか、ということがきっと大切なことなんだろうな。

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その四。子供の医療費&教育費は無料。だから三人兄弟なんてのも多い。というか、そのために高い高い税金を払っているのですね・・・ 

加えて、日本のように習い事は決して盛んではありません。だからこうやって、大きくなっても無邪気に「チャンバラ」。

今、日本でやっきになって覚えさせようとしている英語も、スウェーデンではアメリカから入ってくるテレビ番組で覚えるというではないですか。こちらは吹き替えではないのです。それ以前に、スウェーデン語と英語で似た部分が多いというのはありますが、何事においても塾に通わせるというのはない。スウェーデンは小さな国だから、英語なくしては世に認められないと個々が努力するんだ、と言った人もいましたが、だからといって3歳から塾に通ったなんて人はいません。ピアノでもバレエでも問い合わせをするたびに、早すぎるのは良くないと忠告されるほど。幼少時にすべきことは遊ぶこと、と。

きっと日本にいたら、流されやすい私は周りに影響されて娘を習い事に通わせるようになっていただろうなあと思うと、この時期にここに住んだのはかえって良かったかもと思います。

 先日4歳の定期健診がありました。目の検査や言葉のテストの他に、数を数えるというのがありましたが、4歳では「1、2、3」まで数えられればいいんですって。たったの3、ですよ。拍子抜けしました。何かに焦ることがどれだけ無駄なことか、気づかせてくれる国なのかもしれません。


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その五。水の青、木々の緑、高い空、厳しい気候でも美しい自然は何ものにも変えがたい。

北欧を離れたら忘れてしまうんじゃないか、そんな気がしてつらつらと書き留めてみました。





 

 
by kanainsweden | 2006-11-14 00:19 | スウェーデン 街・生活の紹介